Interview #2 – ウルトラライトハイカーとして発信活動しながら、超軽量の山道具メーカー「山と道」で働く『Junki Nakamura』さん
今週は特別号として、おもしろい生き方や働き方をしているゲストを招き、インタビューを通じて新しい時代を生き抜くヒントを探っていきます。
今回のゲストは、アメリカを縦断するロングトレイルを2度踏破し、ウルトラライトハイカーとして発信活動をしながら、超軽量の山道具メーカー「山と道」でも働く『Junki Nakamura』さんです。
数年前にボクがまだ広告会社で働いていた頃、彼は映像プロダクションで働いていて、仕事を通じて知り合いましたが、当初は仕事でやり取りするだけの関係でした。その後お互い所属している会社は変わりましたが、偶然にも彼がボクの発信をフォローしていたことでInstagramを通じて繋がりました。今ではすっかりウルトラライトハイカー界隈の有名人になりましたが、プライベートで親しくさせてもらっています。
今回はそんな『Junki Nakamura』さんに、キャリアやライフスタイル、個人で発信活動をしながら会社で働くこと、最近立ち上げた自己理解プログラム「道しるべ」のことなどを伺いました。
#「山と道」で働く
Masaya:こんにちは。お久しぶりです。元気ですか?
Junki:元気してます。いや、結構時差ボケあります。
Masaya:そうですよね。木曜日帰ってきたんですか?
Junki:いや、昨日の2時ぐらいですね。ほんまは木曜日帰る予定やったんすけど、飛行機の乗り過ごしてもうて。ようやるんすよ。
Masaya:えー!寝過ごしたってことですか?
Junki:いや、あのね、シアトルから羽田までの直行便があるんですけど、ポートランドに行ってて、ポートランドのフライトの時間がシアトルのフライトの時間と勘違いしてて。寝過ごしてもうたんすよ。で、タクシー乗ってる時に、あれ?って思って(笑)。じゃあちょっともうキャンセルして、違う1番早く着くやろみたいなの探して、昨日の2時着って感じですね。
Masaya:うわー!すみません、そんなタイミングで。
Junki:いや、全然(笑)。
Masaya:本当は直接会ってそういう話を色々と聞いていきたいと思ってたんですけど、なかなかスケジュールを合わせるのが難しかったので、今回はZoomですみません。
ジュンキくんは、ウルトラライトハイカーとしてYouTubeやInstagramで発信活動しながら、ウルトラライトギアを作っているメーカー「山と道」でも働いている、もうインフルエンサーですよね。
Junki:なんかあんまり自覚はないんですけどね。インフルエンスしてる内容とかそんな無いんで(笑)。
Masaya:じゃあジュンキくんからも簡単に自己紹介していただいてもいいですか?
Junki:はい。「山と道」は、ウルトラライトハイキングのすごい軽量な道具を作っている、日本国内でも数少ない杞憂なメーカーなんですけど、働くきっかけになったのが、2018年にメキシコとアメリカの国境から、カナダとアメリカの国境までを歩いて縦断するっていうロングトレイルをしに行くことがあったんですね。半年ぐらいかけて衣食住をずっと背負って歩くんですけど、最初ものすごい重たいパックパックを背負っていたんですね。その時に自分にとって本当に必要なモノってこれだけしかないんだっていうのを、自分自身の生活や身体の体験を通して知れたんですね。
そこから、ウルトラライトの部分と自分自身のライフの部分がものすごい密接というか、関係性がどんどん深まっていきそうだなと思って、仕事もそういうことを研究している会社と働きたいと思って入社したって感じですね。
Masaya:なるほど。それは元々働かれていた映像プロダクションを辞められた後ですか?最初のロングトレイルはPCTでしたっけ?
Junki:そうですね。パシフィック・クレスト・トレイルってやつなんですけど、会社を辞めた後、ちょっとフリーランスをやりながら食い繋いでいきつつ、2018年の5月ぐらいに出発しました。
Masaya:映像プロダクションを辞めて、パシフィック・クレスト・トレイルを歩こうと思ったのって何がきっかけだったんですか?
Junki:激務を続ける中で、よりヘルシーなライフスタイルを求めていたことが大きな動機でしたね。
そんな中で、アウトドア仲間が「アメリカを半年歩いてくる」って話を持ちかけてきたので、ロングトレイルのロマンに惹かれて、半年かけて歩くという生き方を自分の人生に取り入れようと決めました。
Masaya:それでロングトレイルでの経験を得て帰国し、「山と道」に入社した。
Junki:そうですね。そんな流れでした。
Masaya:今「山と道」ではどういった仕事や働き方をしているんですか?
Junki:そうですね。元々はずっとコミュニケーション、営業とかセールスみたいな、そういった感じのところで働いてて、最初はカスタマーサポートでメールや電話対応して、その後ショップの店長やらせてもらってました。で、その後、ウェブページの更新を半年に1回していくので、撮影のロケに行きつつ、それの進行作業をやったり、撮影のロケに行きつつ進行役をやったりとか。
Masaya:それって守備範囲広すぎない?なんでもやってる感じですよね(笑)。
Junki:めちゃくちゃ広かったんですよ(笑)。なんか引っ越し作業の進行役とか、もう会社の中の進行関連全部やるみたいな(笑)。そんな感じで、指示されたことはもう全部やってましたね。
で、そういうの経てから、今はお店の立ち上げとか京都でやらせてもらったりとかしてたんですけど、もう一度ウルトラライトハイキングってものが、どれだけ自分自身に染みたのかっていうのを確認したかったので、2023年にもう一度休みをもらって、もう一つ違うアメリカのコンチネンタル・ディバイド・トレイルで略して「CDT」っていう、カナダ国境のモンタナからメキシコ国境のニューメキシコまで、5,000km続くトレイルを歩きに行ったんですよね。
Masaya:それは会社の休みを取って?
Junki:ハイキングメーカーなんでそういうのも許容してくれるんですよね。もちろん長く働いてた分ポジションもあって、なかなか抜けることは難しかったんですけど、適任者が出てきたタイミングで自分自身あまり仕事を持たないように色々パスしていって、最後に京都店の立ち上げの仕事を終えた後、結構お休みをもらえてみたいな感じでしたね。
Masaya:そう言えばジュンキくんが京都店で働いてた時に行きましたね。
ボクの友人にタイ料理の店をやってる「みもっと」って有名人がいるんですけど、彼女が京都に新しくお店を出すってことでオープニングパーティーに誘われてて、ちょうどジュンキくんが京都にいたから会いに行ったんですよね。
Junki:2年位前ですよね。
Masaya:ボクが子育てと仕事が忙しくてちょっと体調崩したタイミングだったんで、そこで話していた時にヨガを勧めてもらって、紹介してもらったヨガスタジオに一時期通ってましたね。
京都店で働くようになったきっかけって何だったんですか?
Junki:ボクは自分で言うのもなんですけど、センシティブというか繊細さんで(笑)。人がこういう風に思ってるんじゃないかとか、勝手に色々な声を想像してたくさん受け取って、自分の中に入れてしまうタイプなんです。当時はすごい承認欲求も高くて、新しい人が入ってきた時に、自分のやってきたことなんかを伝えていきたいけど、なかなか伝わらないみたいな葛藤があって。で、どんどん仕事とコミュニケーションの量に圧迫されて鬱になったんですよね。
で、2ヶ月位お休みの期間をもらって、一応オフィスに通えそうな状態には戻ったんですけど、やっぱり人の関係性はそう簡単には元に戻らないですし、なんだったら2ヶ月休んでたってことは、その人は人間関係的にこういうことがあって、やっぱり近寄るのやめといた方がいいかもしれないみたいになって気を遣わせてしまう。またその声を受け取ってしまうと思って、ちょっと場所を離れた方がいいと思ったんです。
その時ちょうど京都に「山と道」の直営店を立ち上げる話が出てたタイミングだったので、「じゃあ京都行く?」って提案をもらいました。
Masaya:タイミング良かったですね。
Junki:ボク自身が関西出身っていうのもあって、地元に近い京都に行ってみて仕事をするのもありかと思って。で、水が超合ったんですよ。めちゃくちゃ戻りましたね。
Masaya:いやーよかったですよね。
#茅ヶ崎の暮らし
Masaya:今は鎌倉に拠点を移して生活されてるんですよね?「山と道」は鎌倉が拠点ですもんね。
Junki:元々は浅草とか蔵前ら辺に住んでたんですけど、鎌倉まで電車で通うのが大変過ぎて。
Masaya:その時は大体どれくらいかけて通ってたんですか?
Junki:乗り継ぎが上手くいけば 1時間ちょいぐらいですけど、やっぱり込み具合が尋常じゃないですよね。雨の日とか、みんなもうイラつきにイラつきまくってて。あれだけの小ちゃいスペースをどんだけがんばって守ろうとするんだろうみたいな(笑)。
Masaya:殺伐としてますよね(笑)。
Junki:で、働いてるのは鎌倉ですけど、住んでるのはちょっとだけ離れた茅ヶ崎エリアなんですよ。今は車で40分位かけて通勤してます。
Masaya:じゃあ今はもう満員電車に揺られることもなく、生活ガラッと変わってQOL爆上がりじゃ無いですか(笑)。
Junki:本当そうっすね。もう映像プロダクション時代とか考えられないです。電車に乗ることが久々すぎて逆に楽しみになるみたいな(笑)。でも電車に長く乗るのはやっぱり苦手だなとは思ってますね。
Masaya:海の近くに住んでたら、朝起きてまず海辺を散歩するみたいなイメージあるんですけど、どういう生活なんですか?
Junki:って思うじゃないですか。海からなんだかんだ3km位離れたところに住んでるので、そんなに行かないんですよね(笑)。
Masaya:そういうこと(笑)。サクっと行けないんですね。
Junki:いや、まぁ行こうと思ったら行けますけど(笑)。たまにランニングする時は10km位走ったりするんで、やっぱり海沿いは信号無かったりすごい便利ですね。
最近は、今年の4月くらいにワンコを迎え入れたので、朝5時位に起こされてます。
Masaya:見ました!超かわいいですよね。そっか、ワンコの散歩から始まるのか。
Junki:まぁボクも別に朝早いのは嫌いじゃないので。朝5時に起きたらちょっと身体を冷ます、目を覚ますためにゆっくり水を飲んだり、モーニングノートつけたりとかしながら準備して、5時半位に外に出て散歩する感じですね。夏の時期だけになるのか、冬になったらわかんないですけどね。
Masaya:会社の仕事は何時から始まるんですか?
Junki:コアタイムが9時からなので、大体8時位に余裕を持って家を出るっていう感じですね。
Masaya:車の中では何されてるんですか?
電車通勤だったら本読んだりできるけど、車を運転してる時ってできることが限られてるからすごい気になる。
Junki:やっぱりいいところに目をつけますよね(笑)。
最近なんか海外業務がすごい増えてきたんで、英語のシャドーイングを練習したりとかですね。そんなんちゃうやろって言われるかもしんないですけど(笑)。
Masaya:意識高(笑)!
Junki:それと最近すごい便利なのが、ChatGPTとずっとブレストしながら行きますね。限られた時間の中でブレストやって、午前中に入ってる会議の突っ込まれどころを探したとか、企画内容の目的とゴールを整えるみたいなことを音声チャットでやってます。
Masaya:なるほど。使いこなしてますね。
Junki:結構ボクそういう効率的なことがすごい好きなんです。昔まだそういうのがなかった頃は、スタッフに向けた指示書みたいなものをSlackで送る時間もないぐらいだった時に、ちょっと音声でこれとこれとこれが気になってますみたいなのを会社着くまでに録っておいて、後で全部流しちゃうみたいな感じでやってました。
Masaya:すごくいい使い方ですね。
Junki:車の時間は、囲われてるので周りを気にしなくていいですね。
Masaya:個室ですもんね。ボクも歩きながら音声入力で文章書いたり、ブレストしながら文章作ったりするんすけど、他の人がたくさんいるから恥ずかしいんですよ。だから人の目があるとちょっとごまかしたりとかめんどくさいんですよね。
Junki:めっちゃわかる(笑)。でも、やっぱり歩く方がいいって本当に良く聞くじゃないですか。ジョブズもやってたとか。確かにあるなって思うんですけどね。
Masaya:やっぱり研究でも創造性が高まってアイデアが生まれやすいらしいんですよね。身体を動かし過ぎるとあまり考えられなくなっちゃうから、多分歩くスピードがちょうどいいんでしょうね。
Junki:確かにそうですね、走ってると無理ですよね。わかります。
Masaya:それで夜はいつも大体何時頃に仕事を終えるんですか?
Junki:そうですね。最近はできる限りデジタルデトックスする方向で、大体7時か8時位にはご飯を食べ終わって、そこからはもう携帯を充電するところに置いて触らないように設計しています。
Masaya:健康的で良い生活だなー。じゃあもう平日は基本的に奥様とワンコと過ごしているんですね。
Junki:そうっすね。全然人付き合いしてないなみたいな。でもお酒もあまり飲めないですし、そういう付き合いにも呼ばれなくなりましたね。たまに寂しくなりますけどね。
Masaya:でも東京にいたら誘われ過ぎちゃって、それはそれで大変ですしね。
Junki:確かに。鎌倉も結構飲むところが多いのでたまにあるんですけど、車で行ってるとそういうのもほぼ皆無になりますね。でも1ヶ月に1回位は、誰か誘ったりしようと心がけてますね。
Masaya:でもボクなんか東京にいても、普段は仕事がバタバタしてるからそんなもんですよ。さすがに1ヶ月に1回ってことはないですけど、毎週飲みに行くとかないっすね。
Junki:茅ヶ崎も「Passific Brewing」ってブルワリーがあったりとか、有名な「Goldn Bub」って飲み屋さんもあったりとか、結構美味しいところあるるんで、今度是非来てください。
Masaya:いやーブルワリーとかめっちゃ行きたい。ちょっとタイミング合わせて遊びに行かせてください。
#発信活動
Masaya:ジュンキくんって顔出しでYouTubeとかInstagramやってて、個人でもフォロワーめっちゃいるじゃないですか。それで社内でどういう働き方とか扱われ方してるのかがすごい気になってて。
ボクの場合は、個人と会社を紐付けていないし公開もしていないので、直接会った人には当然話してますけど、全部オープンにしているジュンキくんのそういった部分がめっちゃ気になるんですよ。
Junki:なるほどっすね。すごいとこ突いてきますね(笑)。
Masaya:話し辛かったら全然(笑)。